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(写真左)常に左足を上にして組むクセがあるため、普通にしていても体全体が右側に傾き、首も前に突き出している。(写真右)30秒の正座後、同様に椅子に腰かけたところ、左右の肩の高さがほぼ同じラインにそろった。首も自然な位置に。

 左側は、正座をする前。右側の写真は、30秒の正座をした後の後姿をうつしたものです。背骨のゆがみ改善されていることが、一目でみてとれます。
 「朝30秒の正座」を試してみると、座った瞬間に正しい背骨のS字カーブをつくれていることを実感できます。毎朝、この姿勢を続ければ、背骨を支える左右の筋肉は、このよい姿勢を覚えてくれるので、どんな場所でも、意識しないで自然によい姿勢がとれるようになるのです。

ふだんの何気ない歩き方、立ち方、体重のかけ方の左右差が広がると、腰痛が発症します。
 皆さんは、足にも「利き足」があることをご存じですか?
 左右の手には、「利き手」というものがあります。使いやすいほうの手を指して「右利き」「左利き」と言いますよね。
 実は手と同じく、足にも「利き足」というものがあります。手の場合と違うのは、左右の足は、「利き足」と「軸足」にわかれるという点です。

 では、みなさんが自身の利き足と軸足を見分けるためには、どうすればいいのでしょうか?

 一番わかりやすいのは、椅子に座っていて足を組みたくなるときです。この場合、上に重ねたくなるほうの足が、その方の利き足で、下になったほうの足が軸足です。
 駅で人を待っているとき、無意識のうちに軸足のほうに体重をかけ、利き足のほうを前に交差してみたり、浮かしたりしていませんか。
 意識してみると、誰にでもこの「軸足」「利き足」があることに気づくと思います。
 そしてこの「軸足」と「利き足」の使い方の差が大きければ大きいほど、腰痛になりやすいのです。
 肝心なのは、この「左右差」をできるだけ少なくするためにはどうすればいいのかを考えることです。

 「朝30秒の正座」では、日常生活の中で偏りがちな利き足と軸足に対して、同じ力で圧をかけて、足首やひざの周りの筋肉や関節の状態を、左右均等に整えてくれます。もしもどちらか足が硬いのであれば、その硬い方をほぐしながら、同じ圧力(体重)をかけることによって、左右の違いを少なくしていきます。

 余談ですが、この利き足と軸足の違いを知っておくと、普段の生活でも役に立つことがあります。オフィスなどで座っていて、すぐに腰痛が出るという場合は、タオルを折りたたみ、軸足側のお尻の下に敷いてみてください。そうすることで、利き足と軸足で不均等に流れていた血液がバランスよく流れるようになります。足を組みたいという欲求は、左右の足の血流のバランスが悪くなるせいで起こりますから、左右の血流のバランスが整えば、足を組む頻度が少なくなり、腰痛が軽減されます。

時々患者さんから、「体が硬くて前屈しても手の先が床に届かないんです」とか、「私は股関節が硬いのでバレリーナにはなれませんね」と言われることがあります。
 これらはすべて、「関節が硬くなっている」ということです。では、なぜ「関節は硬く」なってしまうのでしょうか。
 端的に言えば、それは「血流が悪くなっているから」です。筋肉への血流が悪くなっているから、脳が「これ以上はもう広がりません、曲げられません」と指令を出してしまうのです。
 それが結果的に体が硬いという状態になる、というわけです。理屈としては、「体が硬いから広がらない、曲がらない」ではなく、「筋肉への血流が悪くなっているせいで脳からもうこれ以上は広がりませんよ、曲がりませんよという指令が出て体にストップがかかり、これ以上は広がらない」のです。
 可動域が狭いところ、つまり硬いところは、血流がよくなれば柔らかくなってたくさん動かせるようになります。年齢をかさねていくうちに関節が硬くなってしまうのは、血管が老化したり、毛細血管が減ったりして、筋肉への血流が悪くなってしまうからです。

 「朝30秒の正座」では、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎから足首までの部分に、バランスよく圧をかけます。結果、血流が促され、新しい毛細血管を増やすことができます。硬くなり、血流が悪くなっていた箇所にも十分に血流が行き渡っていきます。

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(写真左)夏でも手足の先に冷えを感じている極度の冷え体質。つらいときは靴下の二枚重ねをしているが改善しない。(写真右)30秒の正座後、足全体はもちろん、腕まで赤く表示され、温度が上がったことがわかる。          

 左の写真は、「30秒の正座」をする前とした後の体の状態をサーモグラフィーで撮影したものです。手足の温度が、30秒の正座で驚くほど変化しているのがわかります。実際に体験したモニターの方は、体感的にも体全体がポカポカしてきたのがわかったとおっしゃっていました。