首のセルフケア

 首には、いろいろな筋肉があります。その中でも、耳の付け根から首の両脇に沿って走っている 胸鎖乳突筋は、神経の中継地点であり、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)や血流に影響が出やすい箇所です。

そこで、首の3点押しは、この筋肉を治療ポイントとしています。胸鎖乳突筋の3点を指でつまむマッサージです(やり方は下記参照)。

胸鎖乳突筋のこりをほぐすことで、自律神経のバランスが整い、血流もよくなります。その結果、滞っていた耳への血流も回復し、めまいの軽減、かつ場合によっては耳鳴りが改善できるというわけです。

めまいの対策には、首の3点押しのほか、パソコンや編み物、テレビを見るときの姿勢の改善も大切です。また、高齢者の頸性めまいには、体幹や骨格の変形が原因の場合があるので、日常の運動も必要です。

めまいが起こるのを恐れて、首を動かさないよう安静にする人がいますが、むしろストレッチなどで 身体を動かして血流をよくするほうが効果的です。

よい状態を長引かせるケアが大事

 統計上、めまいは50歳前後の年齢層に頻発するとされます。
特に働いている女性は、デスクワークによるパソコン業務や育児、家事、さらに介護などにも追われることがあるでしょう。これは、首こりが、疲労やストレスから起こるということと、無関係ではない筈です。

症状が起こるタイミングとしては、眠れなかったり、疲労がピークに達したときと、その反対に、緊張から解放されてほっとした時に起こりやすい傾向があるようです。

残念ながら、めまいは、完全に治る病気だとは言えません。とは言え、悪くなったり、改善したりをくり返しながら、 できるだけいい状態が、長持ちするようにケアしていくことが大事だと思います。最近は特にコロナウィルスによる、テレワークや外出自粛要請があったり、何かとストレスが溜まりやすい状況にあるかと思います。
そうした事からも、是非、この簡単な首の3点押しを、日常生活に取り入れていただきたいと思っています。
ただし、全身の動脈硬化があったり、重い高血圧や糖尿病がある人は行わないようにしてください。

「首の3点押し」のやり方

※朝昼晩、1日3回行いましょう。
※入浴後に行うのがお勧めです。

①肩を動かさずに、顔を水平に動かし、できるだけ右を向く。浮き出た胸鎖乳突筋の、上のほう(耳の下)を指でつまんで、もみほぐします。 首のセルフケア

②胸鎖乳突筋の真ん中に指をずらし、同様につまんで、もみほぐします。首のセルフケア③胸鎖乳突筋の下のほう(鎖骨の近く)に指をずらし、同様につまんで、もみほぐします。首のセルフケア
④胸鎖乳突筋の下、真ん中、上の順に同様につまんでもみほぐす。リズムよく上から下、下から上を1往復として、3往復行います。
⑤左側も同様に行う。