正しい姿勢を取り戻すには動かなくなっている筋肉を動けるようにすることで骨を正しいポジションに戻してあげる。すると、その位置をキープできるようになります。しかも1分間ストレッチをするだけです♬仕事や家事の合間や、私ならテレビのコマーシャル中にやってしまいます。
姿勢をつくる第一の筋肉は、背中にある「多裂筋」
最初にしつけるのは、「多裂筋」という背中の筋肉です。はじめて聞く名前かもしれませんが、正しい姿勢をつくるためには重要な筋肉で、悪い姿勢の人の多裂筋はほとんど動いていません。正しい姿勢をつくるには、まず背中。背すじがピンとした姿勢は、背骨を正しいポジションで維持することでつくられます。その役割を担うのが、背骨に沿って縦に張り付いている多裂筋なのです。背骨は、上から7個の頸椎(けいつい)、12個の胸椎(きょうつい)、5個の腰椎(ようつい)、そして仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)の合計26個の椎骨(ついこつ)という骨が積み重なって構成されています。
背骨を正しいポジションで維持するためにとくに重要なのが、上から12番目にある胸椎周辺の多裂筋です。この筋肉が動かなくなると、背中を反らせなくなるし、反らせたとしてもキープできなくなります。12番目の胸椎周辺の多裂筋が動かなくなると、体を反る動きだけでなく、体をねじったり、腕を上げたりする上半身の動きも制限されます。
上半身の動きをつくる背骨の主役は胸椎です。しかも、12番目はもっとも可動域(かどういき)が広い部位。逆にもっとも可動域が狭いのが腰椎です。つまり、12番目の胸椎を動かさずに動きをつくるということは、本来動かない腰椎を無理やり動かしているということです。当然、負担がかかります。腰痛の原因はさまざまですが、悪い姿勢で多裂筋が使えなくなっているのも、一つの理由なのです。
姿勢をつくる第二の筋肉は、「足指の伸筋群」
正しい姿勢を取り戻すには、多裂筋に加えて、もう一つしつける筋肉があります。それは、足指にある「伸筋群(しんきんぐん)」です。この名前もはじめて聞くかもしれませんが、立つ、歩くといった基本動作において重要な筋肉で、やはり姿勢の悪い人の足指の伸筋群はほとんど動いていません。
足の甲からすねにつながる伸筋群の役割は、足の指を反らすことにあります。姿勢が悪い人は、使い方が悪く、殆どうまく動いていません。特に現代人は、伸筋群の使い方が悪い人が増えてきています。理由は、裸足で生活することが少なくなったこと、そして足指全体を覆ってしまう靴が主流になったことです。皆さんの普段の生活ではどうですか?
自宅でもスリッパを履いていることが多いのではないでしょうか。私たちは、足指の伸筋群が動かなくなって、足指が使えなくなっているのです。足指を意識して使っている人は少ないと思います。正しい姿勢をつくり、維持するには、足指を使えるかどうかは重要なポイントです。悪い姿勢の特徴のひとつに、かかと重心の姿勢があります。横から見ると、バランスをとるために頭が前に出て、背中が丸くなっています。立ってスマートフォンを見たり、操作している姿勢が、まさにそれです。
崩れた姿勢を矯正するために使わなければいけないのが、足指です。正しい姿勢のときの体の重心は、足関節より少し前になります。その位置を意識して立つとわかりますが、かかと重心の人はずいぶん重心をつま先側に移動したような気がします。その姿勢をキープするには、足指で地面をつかむようにしないと立てません。
足指を使ってしっかり立てるようにならないと、多裂筋を使えるようになっても、かかと重心になってしまい、ほかの筋肉を使い過ぎるようになります。そして、時間が経つとまた、悪い姿勢のときの筋肉の使い方に戻ってしまうのです。
多裂筋と足指の伸筋群。この2つの筋肉を同時にしつける。これが、正しい姿勢を取り戻すための最善の方法なのです。