Nさん20代女性が私のところに来られたのは、3年ほど前のこと。首、肩、腰、背中、膝裏など全身に強い痛みや凝りがあり、手足がパンパンにむくんでいました。
そうした症状が足裏もみでよくなった頃、「目の調子がおかしい、見え方に違和感がある」とおっしゃって眼科を受診されたそうです。
そこでわかったのが、緑内障でした。眼圧は両目とも21㎜Hg(基準値は10〜21㎜Hg)と、それほど高くありませんでしたが、右目の視野が狭くなっていることが判明しました。
Nさんには、以前から自宅でも入浴後に足裏をもむようにアドバイスしていましたが、「揉むと手が疲れるし、シャワーしか入れない」と言って、揉んでいませんでした。そんな去年の春、一念発起したNさん。週一回の通院を始めました。
その効果が現れ、周りから「脚が細くなったね」と言われるようになったのは、8ヵ月ほどたった頃でした。ふくらはぎは2.2㎝、足首は1㎝も細くなっていたのです。
さらにNさんが驚いたのは、眼科の検査結果に変化が出てきたことです。眼圧が少し下がって19㎜Hgになり、右目の視野が広くなっていたのです。
もちろんNさんは緑内障の薬も使用していますが、脚やせのために一生懸命、整体に通院した結果が目にも現れたのです。まさか目の病気が、足裏もみで改善するとは思ってもいなかったNさん。足裏をもむ効果に、改めて驚ろいていました。
揉んで痛いところは悪いところ
足裏を揉んで改善するのは、目の症状だけではありません。全身の病気・症状も改善します。足裏には全身の臓器や器官に対応する反射区があり、全身が足裏に関連しているからです。
緑内障のような目の病気なら、目に対応する反射区をもむと、血液、体液などの流れがよくなって、目の症状が改善していきます。
また、揉むと痛いところは悪いところなので、目に症状のある人は、目の反射区をもむと痛みやしこりがあります。これはリンパ液が滞り、目につながる反射区に老廃物がたまっているからです。
緑内障の人の足裏に共通する特徴
私はこれまで2万人以上の人の足に触ってきました。そしてわかったのは、足には病気の特徴が現れる、ということです。
緑内障の人の足は、第2指と第3指が固まって、関節のところでぐっと曲がっています。
また、普段、中足骨(足指の付け根にある骨)に重心をかけて立っているため、浮き指になっています。Nさんも、足の指が曲がったまま固まり、上に浮いていました。
第2指と第3指は、目の反射区があります。ここをよくもみほぐして、まず指を柔軟にし、同時に反射区を刺激します。
また、普段から足の指を伸ばし、しっかり指を地面につけて、大地を踏むように意識することも大事です。Nさんも、緑内障が改善するにつれ、足指が柔らかくなり、まっすぐ伸びてきました。
それからもう一つ、私が気づいたのは、「心の状態が体にも影響する」ということでした。
体に現れた病気や不調や痛みは、心からのSOSで、それにご本人が気づくと、症状の改善がとても早くなるのです。
私たちは誰でも、悲しみや苦しみ、怒り、不安など、様々な感情を抱えて生きています。そういう負の感情を心の奥に封じ込め、気づかないでいると、いつの間にか必ず体に痛みや不調、病気となって現れます。痛みや不調、病気は、心のバランスのくずれの表れなのです。
緑内障の人は、過去の受け入れたくない出来事に深く傷ついた経験があります。長い間、その怒りの感情を抑えるために心に壁を作り、心に閉じ込めてきた傾向がある様です。
その傷を思い起こすようなストレスを感じるたびに、再び心を閉ざし、見る範囲を狭めて自分を守ってきました。そのため、だんだん視野が狭くなり、物が見えにくくなったのではないかと私は思うのです。
しかし、体の傷が自然に治るように、心の傷も少しずつ癒えていきます。勇気を出して過去の傷を見つめてみましょう。当時のような怒りは減っていて、新しい見方ができていることに気づくはずです。そうすれば、見える範囲が広がっていくのではないでしょうか。
緑内障の足裏のもみ方は、下項の通りです。最後に肝臓の反射区をもむのは、「肝臓と目はつながっている」という中医学の理論があるからです。
足裏をもんだときにゴリゴリしたり痛んだりするのは、老廃物がたまっているからといえます。そこをグリッともむと、思わず悲鳴が出るほど痛いですが、体の深部に響かせるように安定圧(下項参照)をかけて、少しずつ老廃物をほぐしてから流すようにすれば、痛気持ちよい感覚を得られます。
また、曲がっている足指を、まっすぐ伸ばすように意識しながらもむといいでしょう。
毎日もむのは大変かもしれませんが、足裏をもむと血流がよくなり、体が温まってきます。 緑内障が改善するだけでなく、よく眠れるようになって体全体が昨日より今日、今日より明日、必ず元気になっていますから、ぜひ続けてみてださい。
緑内障の足裏のもみ方
※皮膚を傷めないため&黒ずみ予防のため、クリームの使用をお勧めします。
■もむときの手指の使い方

手の人さし指を「コ」の字に曲げ、突起した関節部分で刺激する方法。ピンポイントに深く強い刺激を与える。

手の親指の腹に力を入れて刺激を与える方法。痛気持ちいい程度の、ソフトな刺激を与える。

3秒間、一定の力を入れて押し続けること。硬いところや痛みを強く感じる場所は、老廃物がたまって、機能が低下している証拠。2~3回くり返して安定圧を行うと効果が上がる。
■刺激する場所

①三叉神経・大脳の反射区

親指の腹全体を鋭角プッシュでしごき、痛いところやプチプチとしたところを見つけたら、3秒間の安定圧をかける。
②目の反射区

第2指の根元を、手の親指と人さし指で挟み、3秒プッシュ。次に、第2関節、爪の生え際の裏を同様に3秒ずつプッシュする。

次に、第2指の側面(第1指側)の足裏側の斜め45度の角の根元を、3秒プッシュ。第2関節、爪の生え際も同様に3秒ずつプッシュする。

終わったら、反対の側面(第3指側)の足裏側の角も同様に刺激する。第3指も同様に行う。※第4指、第5指も行うと、さらに効果がアップ。
③上部リンパ腺の反射区

足裏の指と指の付け根に向かって、押し込むようにして安定圧をかける。
④三半規管の反射区

足の甲の第5指の根元をつまみ、3秒間の安定圧をかける。
⑤臨泣のツボ

臨泣は、足の甲の第4指と第5指の骨の間にある、目の不調の改善に有効なツボ。手の親指を、骨の間に埋め込むようにして3秒間の安定圧をかける。
⑥肝臓の反射区

右足裏の中央から指幅1本分左(第4指と第5指の間の延長線上)にあるのが、肝臓の反射区。鋭角プッシュで安定圧を数ヵ所にかける。